富士フイルムデザインセンターと富士ゼロックスヒューマンインターフェイスデザイン開発部が行う初のデザイン協業プロジェクト
両社の若手デザイナー6名による「チェキムービー」完成に至るまでの半年間のストーリーを紹介する。


プロジェクトは制約が何一つない、真っ白な状態から始まった。検討プロセス自体をクリエイティブにするため “競争と共創” をプロジェクトのコンセプトとし、競い合いながら創る状況をデザインした。
例えば「両社が別々に15 案ずつのデザイン企画を考案、 それを交換し、それに触発された案を更に15案ずつ出し合う」等、シナジーを起こす仕組みを創造のプロセスに組み込み、アイデアの深化を図った。






競争と共創のコンセプトから生まれた企画から、さまざまな具体的なアイデアを展開。
その中にあった「通話小説」というアイデアが最終提案への足掛かりとなった。
携帯電話での日常の通話記録をドキュメント化し、小説として月一回、届けられるというサービスの提案だった。
ここにお互いのルーツと自分たちが大切にしたい価値を感じた。
出てきたアイデアから、両社で進めるプロジェクトとして大切な価値とは何かを議論した。
富士フイルムの写真、富士ゼロックスのドキュメントを支えてきた技術として
“イメージやテキストなどの情報を物質に定着させる”という共通する1つのルーツを見出した。

「画像情報の定着」と「文字情報の定着」両社のルーツを併せ持ったアイデアを検討した。
そして、FUJIFILMのチェキが持つ “その場の雰囲気までも取り込む写真”と
FUJI XEROXの “音(環境音/音声)のテキスト化”によって、
“ストーリーを定着”させることができるのではないか?というアイデアにたどり着いた。

“ストーリー”を定着させるといったコンセプトにふさわしい、外観デザインは何なのか?
“FUJIFILMのチェキとFUJI XEROXのプリンターが融合したようなデザイン”
“カメラのメタファーとプリンターのメタファーを持った抽象的なオブジェのようなデザイン”
など様々なデザインを模索した。

最終的には透明樹脂の中に透明液晶を配置することで、
集音→変換した文字情報を表示させる機能を併せ持った
“筺体とGUIが融合した外観デザイン”として表現した。また透明なボディはそれ自体がファインダーとして機能する。透明で存在感を消した被写体に意識させないデザインでありながらインパクトのあるデザインを実現した。






“ストーリーを出力するチェキ”にふさわしい作例を独自の世界観を持つ写真家の宮原夢画さんに依頼。
このプロダクトが持つ世界観をより魅力的にプレゼンするための素材づくりにご協力いただいた。
夢画さんの魅力的な写真達によって、私たちも思いもよらない素敵なストーリーを実現した。
