Design Development & Talk
部内勉強会
昆虫標本作家 福井敬貴さん 講演会
デザインセンターの勉強会「Design Development & Talk」(DDT)を開催、昆虫標本作家の福井敬貴さんに講演いただきました。
福井さんは、昆虫の足や触角などを伸ばしながら形を整える「展足」の技術が高く評価され、コレクターや研究者から標本制作を多数依頼されている人気作家です。年間数千頭の標本を展足するほか、昆虫本の出版や展示会への協力を行うなど、幅広く活躍しています。昆虫標本というユニークな領域で、独自の美の世界を築き上げている福井さんの活動に共感し、今回お話を伺うことになりました。
講演では、まず昆虫標本が発展してきた歴史や基本的な技法、そして福井さんの得意な技法である「立体展足」について解説いただいた後、福井さんの作品を紹介していただきました。恐ろしく首が長いものや前足が非常に発達したものなど多様な形態を持つ「オトシブミ」の仲間、自然界のものとは思えないようなカラフルなデザインの「カタゾウムシ」など、興味深い昆虫が多数登場しました。
講演後半では、福井さんの「立体展足」をライブで実演いただきました。ピンセットや昆虫針をスピーディーに操りながら足や触角を整え、生きている時のようなたたずまいを再現する職人技に、感嘆の声が上がりました。会場のデザイナーからは実演中も多くの質問が寄せられました。
昆虫標本を作る理由について福井さんは、「昆虫は先入観で嫌われてしまうことが多いから、まず知ってもらうことが大事。その存在を知られないと、昆虫の住む環境ごとつぶされてしまいます。知ってもらうことで、環境を守ることにつながってほしい」と語りました。
学術的価値だけではなく、アート作品としての魅力もある標本を制作する福井さん。その美しい作品の数々や繊細な手技、自然・生き物に対する深い愛情に、参加者は感銘を受けていた様子でした。
新型コロナウイルス感染症の影響でお休みしていたDDTは、ほぼ3年ぶりの開催となりました。開催にあたっては、DDT委員が福井さんにヒアリングし、昆虫採集や標本作りに同行するなど入念な準備のうえ、講演内容の構成をサポートしました。委員メンバーの熱意が会場にも伝わり、大きな盛り上がりを見せた勉強会となりました。
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