ミラノサローネ2022出張報告会
世界最大規模の家具見本市として、毎年イタリアのミラノで開催される「ミラノサローネ(ミラノデザインウィーク)」。今年で60周年を迎えたデザインの祭典を3年ぶりに視察したのは、プロダクトデザイナーの楢崎さんとグラフィックデザイナーの小林さん。4日間で総歩行距離73kmを費やすほど多くの展示を巡り、特に印象深かったデザインやトレンドについて、社内のデザイナーへ報告を行いました。
楢崎さん
「空間を大胆に使った大型のインスタレーションを用いつつ、独創性の高い技術を伝える展示が多くの企業ブースで見られました。印象的だったのは、アルコーバと呼ばれるムーブメントです。これは、使われていない工場やマンションの中にデザインを落とし込むことで、忘れ去られた場所と家具やインテリアを結びつけ、新たな価値を提供するというものです。日本でも古民家を利用したショップが人気を集めているので、これから注目されるのではないでしょうか」
また、楢崎さんはデザイナーの聖地として有名なミラノの老舗バー「バール・バッソ」へ訪れることもできて、大満足だったそうです。
小林さん
「世界中のデザイナーたちの作品を見ることができ、とても刺激的でした。異素材を組み合わせたデザインが近年のトレンドですが、今年は特に、編む・曲げる・エイジングの3つの手法が来場者の関心を引きつけていました。板金を曲げたベンチやエイジング加工した机など、新しい表現や生産の工夫から、これからの流行が生まれるのではないでしょうか」
余談として小林さんは、ミラノの食事はおいしく、人々は親切だったと笑顔を浮かべていました。
加えて2人の心をつかんだのは、日本の美と欧州の美を高度に組み合わせ、独自の美しさを生み出している展示。「障子で仕切られたブースや格子状の棚ほか、日本の建築や文化が欧州のデザインに取り入れられ、新たな息を吹き込まれているようでした」(楢崎さん)。「和紙や陶器、木材など、日本を感じる素材が有名ブランドのデザインに採用され、デジタルでは表現できない自然との調和を感じることができました」(小林さん)
ほかにも、AIや3Dプリンターを用いた最新デザインの紹介などが行われた報告会。2人が持ち帰ったパンフレットも公開され、和やかな雰囲気の中で、さまざまな意見や質問が飛び交いました。