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ダッチ・デザイン・ウィーク2023 訪問報告会

2023年10月21日から9日間にわたってオランダ・アイントホーフェンで開催されたデザインイベント「ダッチ・デザイン・ウィーク(Dutch Design Week: DDW)」を、プロダクトデザイナーの今村 響さんとグラフィックデザイナーの小林 寛さんが視察しました。

アイントホーフェン市内の各地で展示会やワークショップ、セミナーなどが行われるDDWには、新進からベテランまで多様なデザイナーが例年参加しており、最新トレンドや未来の方向性を垣間見ることができます。

今回の視察では、二人はDDWで学生からプロまでさまざまなデザイナーが手掛けた作品を見学したほか、アムステルダム市内を訪問。約1週間にわたる視察の中から特に印象的だった展示物について、「さまざまな気づきがあった」と報告しました(写真上)。

今村さん「DDWの展示を見ていく中で、単にサステナブル素材を使うということだけではなく、さらに深いレベルで環境への配慮がなされているということを実感した。オランダのデザインにおいてはエコロジカルといった言葉はもはや特別ではなく、前提やベースとするべきもので、そこからどのようなものをデザインしていこうかを考えている点が、非常に刺激になりました」

現地で体験した「小話」を時折はさみながらダッチ・デザイン・ウィーク報告を行う小林さん(写真左)

小林さん「個人の小さなアトリエから企業による大規模なラボまで、さまざまなスペースを視察して、そのどれもがパブリックな空間としてシェアする文化が根付いていると感じた。資源や知恵をシェアしながら、良い影響を与え合うことでより良いものづくりにつなげていくオランダの取り組みは考えさせられるものがありました」

今村さんは、オランダの町並みの特徴でもある屋根の「破風」についても注目。現地で撮りためた写真を紹介していました。

報告会では、現地で撮影された展示やクリエイティブを画面で共有しつつ、二人が「気になった」というデザインを数十点紹介。それぞれを詳しく解説しながら気づいた点を報告していました(写真下)。

また、アイントホーフェンに続いてアムステルダムを訪問した二人は、同地の住宅や商業施設のほとんどが既存の歴史的な建造物などを生かしてつくられており、最新のデザイン集団などもそうした建造物を生かした展示を行っていることに注目。「『古いものをステキに生かす』ことがオランダは本当に得意。環境配慮というと僕らは新開発の素材や技術などを思い浮かべがちだけれど、ものづくりの根本的な部分にそうした考え方がある。持続可能な社会を本気で作り上げようとする姿勢が街の至る所で感じられ、学ぶことが多かった」と話しました。

アイントホーフェンやアムステルダムでは、古い町並みを活かしつつ様々なイベントや展示が催されています。

DDW会場の様子。

環境に配慮し、自転車の利用率が高いオランダ。自転車ファンでもあるという小林さんは、現地で撮影した「チャリコレクション」も紹介していました。

質疑応答に続いて感想を述べた堀切和久・デザインセンター長は「海面より低い土地が多いオランダは、地球温暖化に対する危機感が国全体に浸透している。その意味で、今回の報告会で紹介された事例はオランダという風土の中で生まれてきたデザインだと言えるかもしれない。それでも以前は警鐘を鳴らす印象のデザインが多かったが、今回取り上げられたデザインには前向きなユーモアが感じられて、その変化が印象的だと感じた」とコメントしました。